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平成19年11月22日
清和政策研究会
提言 財政健全化に対する我々の基本姿勢

1.基本認識
我々は、財政健全化を最も重視する政策グループである。財政健全化のための究極の手段は増税であるが、経済成長のもとではじめて財政再建は成功することが可能であり、増税への国民の理解を得ることが可能となる。まだ、増税実施についての国民の納得を得るための「条件整備」は十分ではなく、増税の規模や時期を検討する「前段階」であると考える。

@デフレ下で国民の所得の伸びが微弱であり、地方経済は疲弊している。米価下落や石油価格高騰の中、国民負担を御願いできる状況ではない。

A2011年度を超える長期の社会保障財源については、最大野党である民主党との間で制度設計とそれに伴う国民負担のあり方についての合意形成が不可欠である。

B2006年の財政改革研究会最終報告に基づく「骨太の方針2006」が目標とする2011年度の基礎的財政収支黒字化の実行計画ができあがっていない。とりわけ、歳出削減の徹底なくして増税に対する国民の理解は得られない。

2.経済環境の整備=「まず、デフレの脱却を」
・デフレがいまだに完全脱却できていない不正常な中、87年ブラックマンデー、97年金融危機に継ぐ「10年周期の世界的金融不安」が世界経済のテーマになっている。デフレに加えて日本経済の先行きに不透明感が漂いはじめている。

・このような経済のもとで、増税論議が経済に与える深刻な影響を危惧する。経済成長に伴う健全な名目所得向上が確認された上で、国民負担を議論すべきである。

・なお、骨太の方針2006の「経済・財政一体改革」の発想の原点は、90年代後半に、財政再建のみを金科玉条の目的とし、その実現を急ぎすぎたあまり、景気を腰折れさせ、結果として財政の健全化にも失敗し、国民生活にも多大な影響を与えた経験を忘れてはならない、というところにある。(財革研最終報告06年6月26日)

3.政治環境の整備@=「まず、社会保障制度設計に関する与野党合意の形成を」
・社会保障制度は政権交代があっても制度設計が変わらない合意を形成することが長期の社会保障財源を検討する前提条件である。

・2011年度以降の財政健全化の議論は「はじめに社会保障ありき」「社会保障制度設計に関する与党・民主党間の合意なしの財源論議なし」の方針で臨むべきである。

4.政治環境の整備A=「まず、歳出削減の徹底を」
・国民は「官のムダ」の削減は未だ不十分と認識している。特に、公務員給与はいまだに民間よりも優遇されている。

・骨太の方針2006は、社会保障予算とほぼ同じ規模の公務員人件費約30兆円(国4.8兆、地方25.2兆)について、「各地域における公務員の給与、処遇のあり方について、民間企業の実態を踏まえ、能力主義や実績評価に基づいたものとなるよう厳しく見直すとともに、公務員の労働基本権や人事院・人事委員会制度のあり方を含む公務員制度全体の改革の検討を早期に開始する」と更なる深堀を求めている。

・地方公務員への能力主義や実績評価の導入についての法律は未だに審議されておらず、今年の財政審建議書は、学校給食員の給与は民間の最大2.41倍、電話交換手は民間の最大3.09倍等で、地方公務員の技能労務職員の人件費と地域の民間給与との年収格差の合計は約5400億円と推計していることもあり、歳出削減上積みの可能性を検討すべきである。

・国家公務員については能力主義を導入する根拠となる公務員制度改革法が成立し、また、政府の行政改革推進本部専門調査会の「公務員の労働基本権のあり方について」が本年10月19日に報告され、人事院勧告制度に守られ聖域と化していた公務員給与について、骨太の方針2006を上回る削減の検討が可能である。

5.政治環境の整備B=「まず、特別会計の余剰積立金の活用を」
・デフレ脱却という経済的環境整備、社会保障制度設計の与野党合意形成という政治的環境の整備の間に必要な財源が発生する場合には、「特別会計の改革」による更なる財政健全化への貢献で行うべきである。

・骨太の方針2006は国有財産売却について今後10年間の売却収入を約12兆円としているが、その前倒しをすべきである。さらに、独立行政法人についても、可能な限り事業を民間に売却すべきである。

・平成18年の「行政改革推進法」17条は、今後の「特別会計の改革」により5年間で20兆円程度の財政健全化への貢献が定められている(12兆円は財融、8兆円は外為)。財務省も、この20 兆円はあくまで目標であり、これが上限となって、それ以上の財政健全化への貢献が行えなくなるわけではない、との姿勢である。

・たとえば、外国為替資金特別会計の積立金15.6 兆円や財政融資資金特別会計の積立金26.4 兆円については、金融リスクへの対応のために必要とされているが、その合理的な積み立て水準は示されず、事実上過去からの運用益の積み上がりになっている。国の財政が苦しいのであれば、国民に増税を求める前にそれらの積立金を取り崩すべきである。現行制度での深堀が難しいのであれば、少なくともこれらの資金については合理的な積み立て水準を確保するために財政当局とは別の組織によって管理しその上で過剰な積立金を一般会計に繰り入れることも検討すべきである。


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